相続放棄の熟慮期間に関するQ&A
- Q熟慮期間とは何ですか?
- Qいつまでに相続放棄を行えばいいのですか?
- Q3か月の熟慮期間の計算方法を正確に教えてください。
- Q3か月の期間の最終日が土日祝日の場合は、いつまでに相続放棄を行えばいいのでしょうか?
相続放棄の熟慮期間に関するQ&A
Q熟慮期間とは何ですか?
A
「熟慮期間」とは、相続放棄等をするか、単純承認するかを決める期間のことを指します。
法律では、熟慮期間は、相続の開始があったことを知った時から3か月以内と定められています。
熟慮期間までに意思を明確にした場合には、その時点で、相続するかどうかが確定することとなります。
一方、熟慮期間までに相続放棄等をするかを明確にしなかった場合には、単純承認したものと扱われることとなります。
このように、3か月の熟慮期間が経過するまでは、相続放棄をするかどうかを決めることができます。
しかし、一旦、単純承認すると決めてしまうと、相続することが確定することとなり、原則として、相続放棄をすることができなくなります。
このため、相続放棄をするか単純承認をするかは、慎重に決める必要があります。
Qいつまでに相続放棄を行えばいいのですか?
A
相続放棄を行うことができる期間(熟慮期間)は、相続の開始があったことを知った時から3か月以内と定められています。
このため、被相続人が亡くなったことを知らなかった場合には、その間は、熟慮期間は経過せず、実際に被相続人が亡くなったことを知った時点から、3か月の熟慮期間が計算されることとなります。
このように、被相続人が亡くなった事実を知らない間は、熟慮期間にはカウントされず、相続放棄を行うことが可能なままの状態が続くということになります。
例えば、被相続人と交流がなかったため、被相続人が亡くなったことを7年間知らなかった事例でも、実際に亡くなったことを知ってから3か月以内に相続放棄の申述を行い、申述が受理された例があります。
ただし、相続放棄の申述を行った場合には、家庭裁判所は、被相続人の戸籍から、被相続人が亡くなってから3か月以内の申述かどうかを確認します。
また、亡くなってから3か月を経過した後の申述である場合には、被相続人との生前の交流状況、被相続人の葬儀への参列の有無等を具体的に確認するという行動をとることが多いです。
したがって、申述の手続きをスムーズに進めたいのであれば、被相続人が亡くなってから3か月以内に手続きを行うことが望ましいということになります。
Q3か月の熟慮期間の計算方法を正確に教えてください。
A
3か月の熟慮期間については、民法の期間についてのルールにより計算されることとなっています。
多くの場合は、被相続人が亡くなったことを知った日から3か月が熟慮期間になるでしょう。
それでは、6月2日に被相続人が亡くなったことを知った場合は、いつまでが3か月の熟慮期間になるのでしょうか。
民法は、「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。」と定めています。
したがって、上記の場合ですと、6月2日は期間に算入されず、6月3日から計算されることとなります。
また、民法は、「月又は年によって期間を定めたときは、その期間は暦に従って計算する。週、月又は年の初めから期間を計算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応答する日の前日に満了する。」と定めています。
したがって、上記の場合ですと、3か月の期間は、6月3日の3か月後の応当日である9月3日の前日、つまり9月2日までが熟慮期間であることとなります。
ただし、これは9月2日が平日である場合の例となります。
Q3か月の期間の最終日が土日祝日の場合は、いつまでに相続放棄を行えばいいのでしょうか?
A
熟慮期間の最終日が土曜日、日曜日、祝日である場合と、最終日が平日の場合とで、実際の期間の終了日が異なります。
民法は、「期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他の休日に当たるときは、…期間は、その翌日に満了する。」と定めています。
国民の祝日に関する法律に規定する休日とは、いわゆる祝日や振替休日のことをいいます。
参考リンク:内閣府・国民の休日について
その他の休日とは、土曜日や年末年始がこれに該当します。
つまり、期間の末日が土曜日、日曜日、祝日の場合は、3か月の熟慮期間は終了せず、その翌日に終了することとなるのです。
例えば、期間の末日が土曜日の場合、その翌日も日曜日で期間が終了しないこととなりますので、さらに翌日の月曜日までが熟慮期間となります。
もちろん、さらに翌日の月曜日も祝日や振替休日である場合は、さらに翌日の火曜日までが熟慮期間となります。