相続放棄の必要書類に関するQ&A

文責:代表 弁護士 西尾有司

最終更新日:2024年10月30日

相続放棄の必要書類に関するQ&A

Q相続放棄のためにどういう書類が必要になりますか?

A

 相続放棄の申述を行うには、申述書のほかにも、いくつかの必要書類を集める必要があります。
 共通する必要書類は、以下のとおりです。

  • 1 被相続人の死亡の記載のある戸籍

  • 2 被相続人の住民票の除票(戸籍の附票でも構いません)

  • 3 相続放棄をする方の戸籍

 個別の事案によっては、上記以外の必要書類を提出しなければならないこともあります。

 例えば、相続放棄をする方が、被相続人の父母である場合は、先順位の相続人がいないことを明らかにしなければなりません。

そこで、追加で「被相続人の出生から死亡までの戸籍」を提出する必要が生じることがあります。

 この書類によって、被相続人に子がいないことを証明します。

 追加で必要になる書類は、個別の事案によって異なりますので、弁護士にご相談いただくことをおすすめします。

Q相続放棄の必要書類は、いつまでに集めなければならないのでしょうか?

A

 相続放棄の手続きは、相続の開始があったことを知った時から3か月以内に行う必要があります。

 被相続人の死亡の記載のある戸籍、被相続人の住民票の除票等の必要書類をすべて提出しなければ、相続放棄の申述が受理されることはありません。

そのため、3か月の期限内に収集し、申述を行わなければなりません。
 しかし、場合によっては、3か月の期間内に、すべての必要書類を集めることができないこともあります。
 このような場合には、3か月の熟慮期間までに、相続放棄の申述書を提出しておき、必要書類については、追加で提出することもできます。
 相続放棄の申述書さえ3か月以内に提出しておけば、必要書類については、3か月が経過した後に提出しても差し支えがないこととなっています。

 

 ただし、相続放棄の申述書以外の必要書類を提出せずに、いつまでも放置しておくことは、望ましいことではありません。
 必要書類を提出しない限り、相続放棄の申述が受理されることはなく、被相続人の債務等を免れることもできないからです。
 必要書類については、早いうちに提出してしまうのが望ましいでしょう。

 

 また、相続放棄の申述書を作成するにあたっては、被相続人の最後の住所、氏名等を記載する必要があります。
 被相続人との交流が乏しかった場合、被相続人の最後の住所を知らないこともあるでしょう。
 このような場合には、相続放棄の申述書にどのような住所を記入すべきかが分かりません。
 さらには、被相続人の最後の住所が分からなければ、どの家庭裁判所に管轄があるかが分からず、相続放棄の申述書を提出すべき家庭裁判所が分からないという問題も生じてしまいます。
 このように、被相続人についての正確な情報を得るためには、3か月の期間内には、せめて、被相続人の住民票の除票を取得しておくべきでしょう。

Q先順位の相続人が相続放棄をしている場合は、必要書類はどうなるのでしょうか?

A

 先順位の相続人が相続放棄を行ったため、次順位の相続人も相続放棄を行うことになるケースがあります。
 例えば、被相続人の子が相続放棄を行った場合には、被相続人の父母が次順位の相続人となります。
 この場合、被相続人の父母が相続放棄を行うにあたっては、どのような必要書類を提出する必要があるのでしょうか。

 

 相続放棄の事件では、提出された戸籍、住民票の除票等の書類は、被相続人ごとに共通して使用することができます。
 このため、一度、これらの必要書類が提出されれば、重複して、これらの必要書類を提出する必要はないこととなります。
 以上から、被相続人の子が先に被相続人の死亡の記載のある戸籍、住民票の除票等を提出しているのであれば、被相続人の父母は、自身の戸籍を提出すれば足りることとなります。

 

 なお、家庭裁判所は、先順位の相続人が相続放棄を行ったことを把握しています。
 したがって、次順位の相続人が相続放棄を行うにあたっては、先順位の相続人が相続放棄を行ったことを証明する書類(相続放棄申述受理証明書)についても、提出する必要がないこととなります。

Q被相続人の兄弟姉妹や被相続人の甥姪が相続放棄を行う場合には、どのような必要書類を準備しなければならないのでしょうか?

A

 法律では、相続の順位は、第一順位が子(子が存命でない場合には孫)、第二順位が父母(父母が存命でない場合には祖父母)、第三順位が兄弟姉妹(兄弟姉妹が存命でない場合には甥姪)とされています。
 したがって、被相続人の兄弟姉妹や被相続人の甥姪が相続人となるのは、先順位の相続人である被相続人の子や被相続人の父母がいないまたは存命でない場合に限られることとなります。

 

 被相続人の兄弟姉妹や被相続人の甥姪が相続放棄を行う場合にも、先順位の相続人が存在しないことを明らかにする必要があります。
 例えば、被相続人に子がおらず、被相続人の父母が亡くなっている場合には、以下の必要書類を提出る必要があります。

  •  

    ア 被相続人の出生から死亡までの戸籍

      被相続人に子がいないことを明らかにするために必要になります。

    イ 被相続人の父母の死亡の記載のある戸籍

      被相続人の父母が存命ではないことを明らかにするために必要になります。

     

 なお、被相続人が若年である場合は、被相続人の祖父母が存命であることがあります。
 このような場合には、上記ア、イに加えて、被相続人の祖父母の死亡の記載のある戸籍も必要となります。

 

 これに対して、被相続人がある程度の年齢であり、被相続人の祖父母が存命であるとは到底考えられないような場合には、被相続人の祖父母の死亡の記載のある戸籍の提出までは不要となることがあります。
 例えば、被相続人の父母からして、国内最長寿の人物よりも早く生まれているような場合には、被相続人の祖父母が存命であることはあり得ませんので、上記ア、イの書類を提出すれば足りることとなります。

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